公共工事を発注する際には、発注者が履行を確保するため、履行保証金、履行保証書、あるいは履行保証保険のいずれかを請求者から提出させることが義務付けられています。これらは、契約者が契約に基づく義務を履行できない場合、発注者に損害が発生した場合を補償することを目的としたものです。
履行保証金は現金や国債などで提出することができ、契約者の履行能力や財務状態を評価し、入札に参加することができるか判断するための重要な要素となります。また、履行保証書は銀行や保証会社が発行し、契約者の履行義務を保証するものです。履行保証保険は保険会社が契約者の履行義務を保険するものであり、発注者にとっての履行確保手段の一つです。
履行保証金保函とは、銀行や保証会社が発行するもので、契約者が履行保証金を現金や国債で提出することを保証する文書です。発注者は、契約者の履行保証金を差し押さえることなく、履行保証金保函を受領することで履行確保を図ることができます。
履行保証金保函には、次のようなメリットがあります。
履行保証金保函には、次のようなデメリットもあります。
履行保証金保函を提出できなかった場合でも、発注者は契約者との契約を解除することがあります。この場合、契約者は発注者に対して損害賠償義務を負うことになります。
履行保証金保函を提出できなかった場合には、次のような対応が考えられます。
履行保証金保函は、契約者の履行確保手段の一つであり、契約者にとっては運転資金の確保、発注者にとっては入札参加のハードルを下げるメリットがあります。しかし、履行保証金保函を提出できなかった場合には、発注者は契約者を変更する、あるいは契約内容を変更するなどの対応を検討する必要があります。また、発注者は、履行保証金保函を受領することで履行確保を図ることができますが、発注者に対する債権の回収が困難になる場合がありますので、注意が必要です。